生娘なヤングジャンプと尻軽なヤングジャンプ

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家から1分歩いた所にミニストップがある。そして5分歩いた所にセブンイレブンがある。僕は毎週、ヤングジャンプを買う時は必ずセブンイレブンに行くようにしている。

セブンイレブンヤングジャンプは、きちんと紐で縛られ粛々と運命の人に手にされる瞬間を待ちわびている。まるで箱入りの生娘のように。一方ミニストップヤングジャンプはといえば、無防備にその姿を晒し、来るもの拒まずでいろんな男の手に取られ、抵抗する事もなくあんな所やこんな所を開いている。尻軽なヤングジャンプだ。

つい先ほど、僕はセブンイレブンに赴いた。理由はもちろん生娘な方のヤングジャンプに会いに。少しばかりの支度金を用意し、我が家に迎え入れる準備をして、いつも通り彼女の姿を探した。

見当たらない!

愕然とした。毎週木曜日、僕は必ず彼女をここで迎え入れている。彼女と約束をしたわけじゃないが、いつも当たり前のようにこの場所で待っていてくれてるはずだ。なのにどうして姿が見えない。たしかに今日は少し迎えに来るのが遅れてしまったかもしれない。それに怒っているのだろうか?だけど、それにしたって姿を消してしまうなんてあんまりじゃないか…

なんだか裏切られた気がした。こういう時、どうしても嫌な想像が頭に浮かんできてしまう。いつも僕を待っていてくれる君が、他の男に蹂躙されている…そんな気がしてならなかった。いや、もしかしたら君は、喜んで他の男にあんな所やこんな所を開いているかもしれない。出来るだけ考えないようにしても、次から次へと嫌な想像が浮かんできてしまう。

きっと他の男にどれだけ乱暴に扱われても、もう僕の元に来る事はないだろう。

最後にそんな事を思い、僕はそれ以上考えるのを止めた。

セブンイレブンを後にした僕は、ぼんやりと遠くの街灯を眺めながら歩いた。なんだか世界の全てがどうでもよくなってしまい、歩くのすら億劫に感じる。風は冷たく、いつもなら早足で家に向かうところだ。だけど今はそんな気が起きない。何気なく向かいの通りを眺めてみた。先ほどとは別のコンビニの明かりが煌々と照っている。ミニストップだ。僕はハッとした。

ミニストップヤングジャンプ…」

自然と口をついて出た。そう、ミニストップにもヤングジャンプはある。ヤングジャンプはあるけどアイツは…

僕はしばらく思案した。ミニストップヤングジャンプ。もちろん彼女の事は前々から知っていたし、全く意識しなかったと言えば嘘になる。だけど彼女の事はできるだけ考えないようにしていた。心のどこかで軽蔑していたかもしれない。尻軽なヤングジャンプ。いろんな男の手の上で弄ばれる彼女の姿を目にした僕が、彼女に貼ったレッテルだ。彼女とは交わるまいと自然と避けてたのだと思う。それなのに僕は彼女の前に何食わぬ顔で表れ、あまつさえ手に取ろうとしている。こんなこと許されるわけがない。なんて最低なんだろう。そう、最低なんだ、僕は。そして最低だと自覚しながら、向かいのミニストップに行こうと信号待ちをしている。こんな最低な僕と尻軽な君、お似合いじゃないか。

ミニストップを出ると、先ほどより風が冷たく感じた。「早く帰ろう」そう思った。結果から言うとミニストップにもヤングジャンプはなかった。肩透かしを食らった形になるが、これで良かったのだと思う。彼女にだって何かしらの事情があるはずだ。いつもいろんな男の手垢がつき、時には乱暴に扱われて元の場所に捨て置かれる。辛くないわけないじゃないか。そんな彼女の身の上を慮ることなく、今日だけ欲望に身を任せて手にするなんて人としてあんまりじゃないか。ミニストップヤングジャンプを軽んじたことを恥じながら、僕は歩き出した。

歩きながらあらためて思う。ヤングジャンプに貴賎なし。そしてヤングジャンプが大好きだと…。


追伸
12月15日発売のヤンジャンは、サキドルエースという企画により買い占めバトルが勃発してたようです。ヤングジャンプ愛が止まりません。なんでもいいから読みてぇ…

以上です。